どの高校も受験に関する情熱は強いのに、受験に関する知識ってあまり教えてくれないですよね。
高3になって共通テストという仕組みを知る人もいれば、中には浪人生になってやっと詳しい仕組みを調べ始める人もいます。共通テストや一般受験について教えてくれる先生は居ますが、推薦に関して説明してくれる先生は中々居ません。
しかし受験は、いかに早く仕組みを網羅し、戦略を立てて挑むかによって結果が変わります。今回はそんな忖度無しに、仕組みから実際の推薦枠、戦略の例まで様々な先輩方にインタビューしてきました。
学部という概念から
大学には学部・学科という概念があります。
それぞれの学部に学科やコース等が存在し、それぞれで入試が行われます。
よって、受験生は各学部学科のカリキュラムを確認した上で、志願先を決めることになります。
文系で受験できる学部・理系で受験できる学部はこちらで確認して下さい↓
例:九州大学
~経済学部~
・経済・経営学科
・経済工学科
~理学部~
・物理学科
・化学科
・地球惑星科学科
・数学科
・生物学科
…等々 計9学部31学科
東大にしかない「〇科〇類」
入試について調べる内、割と最初の方で混乱するのがこれです。入試方法については詳しく解説しますが、東大だけ独特な入試方式をとっているというだけの話です。
東大は全員が教養学部を受験します。理系なら理科〇類の教養学部、文系なら文科〇類の教養学部といった形です。
それぞれの科類に定員が設けられており、理系はⅡ類→Ⅰ類→Ⅲ類、文系はⅢ類→Ⅱ類→Ⅰ類にかけて難易度は上がりますが、東大では三年生よりようやく皆さんが思い浮かべるような学部に分かれるシステムになっており、その進路を決める試験において類数が多いほど有利になります。
以下はそれぞれの科類と進学できる学部の一覧です。
文科一類 : 法学部、教養学部
文科二類: 経済学部、教養学部
文科三類: 文学部、教育学部、教養学部
理科一類: 工学部、理学部、薬学部、農学部、医学部、教養学部
理科二類: 農学部、薬学部、理学部、工学部、医学部、教養学部
理科三類: 医学部
共通テストというシステム
正式名称を「大学入学共通テスト(旧:大学入試センター試験)」というこのシステムは、ほぼ全ての大学が独立行政法人「大学入試センター」と共同で実施する試験です。
国公立大学の一般選抜受験者は、原則共通テストを受験しなければなりません。また、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を設定しています。大学進学を考える受験生にとって、この共通テスト対策は必須といっても過言ではありません。
出題形式
共通テストでは、解答方法は「マーク式」だけですが、評価方法は思考力や判断力を重視するように変化しています。問題作成や出題形式に工夫があり、知識や解法の暗記だけで解答できる問題は少なくなりました。
代わりに、より理解を問う問題や思考力を発揮する問題が出題され、グラフや文章などの資料を使った学習過程を意識した問題もあります。
出題科目は6教科30科目
共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成されます。
この中から、最大8科目(理科①を選択した場合は9科目)を受験できます。受験生は、志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。
外国語の「英語」の受験者は、「リーディング」と別時間に実施される「リスニング」の受験が必須となっています。「リーディング」と「リスニング」の配点はそれぞれ100点で、配点比率は1:1となっています。
ただし、各大学が成績を利用する際には、配点比率を自由に決めることができるため、そのまま1:1で利用する大学のほか、センター試験時と同じ4:1で利用する大学もあるなど、大学により対応は分かれています。
新課程の共通テスト
新課程(2023年度二年生以降の生徒)は「情報Ⅰ」が追加されるなど、少し内容の異なった入試になります。
かの河合塾さんが上手くまとめて下さっているのでお借りしてきました。
受験する科目
合否判定に用いる共通テストの教科数や指定教科(科目)は大学により、受験生が受験する科目は異なります。
受験に必要な教科数は、国公立大学では多くの大学が5教科以上、私立大学の共通テスト利用方式では2~3教科が一般的です。指定教科(科目)も、大学により異なりますが、理科や地理歴史・公民などは受験生の勉強科目に応じて受験できるよう複数科目から自由に選択できる場合が多くなっています。
科目選択時に注意しなければならない科目は、「英語以外の外国語」「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「簿記・会計」「情報関係基礎」「地歴A(世界史A・日本史A・地理A)」です。これらを出題科目として指定しない大学が多くみられるためです。また、公民の「現代社会」「倫理」「政治・経済」も、旧帝大などの難関大学では受験できないケースがみられる科目です。
なお、前述のうち数学②の「簿記・会計」「情報関係基礎」は、受験科目として指定されていても、「高等学校においてこれらの科目を履修した者のみ選択可能」といった制限が設けられている場合ががあります。つまりこの場合、宗高生は受検できません。
とくに注意が必要な理科の選択方法
理科についてはとくに注意が必要です。受験科目は共通テスト当日に問題を見てから決めることもできますが、A~Dのどのパターンで受験するかについては出願時に申請する必要があります。
A:理科①から2科目(例:物理基礎+化学基礎)
B:理科②から1科目(例:物理)
C:理科①から2科目及び理科②から1科目(例:物理基礎+化学基礎、物理)
D:理科②から2科目(例:物理、化学)
国公立大学の理系学部では、理科①を認める大学はほとんどみられません。
また、理科を2科目必要とする大学も多いため、国公立大学の理系学部を志望するならDパターン、つまり理科②を2科目選択しておくべきでしょう。
一方、国公立大学文系学部では、理科①2科目または理科②1科目で受験できる大学がほとんどです。
ただし、東京大学や京都大学などのように、理科①、理科②のいずれを選択した場合も2科目を必要とする大学があります。
このため、Aパターン、つまり理科①2科目を選択しておくべきでしょう。
私立大学に関してもやはり、理系は理科②、文系は理科①と考えておけばよいでしょう。
第1解答科目指定
地理歴史・公民、理科②において、教科内で1科目のみを合否判定に利用する大学では、2科目受験した受験生の成績は高得点の科目ではなく、第1解答科目(地理歴史・公民、理科②で1科目めに受験した科目)を指定するケースがあります。
とくに、国公立大学では多くの大学が第1解答科目を利用するほか、私立大学でも難関大学を中心に第1解答科目を利用します。どの順番で解答するかは共通テスト当日に自由に選べるため、得意科目を第1解答科目で解くのが基本です。
出願まで
募集要項の入手
共通テストの「受験案内」は9月1日から、各大学の「募集要項」は秋頃〜12月中旬までに発表・配付されます。
志望する大学や受験する可能性のある大学の募集要項は、早めに入手しておいた方が良いでしょう。受験戦略を立てるには必須になります。
募集要項は冊子で発行する大学もありますが、近年はWEBで公開し、オンラインで出願を行うところも増えています。
共通テスト出願
共通テストの出願期間は9月下旬から10月上旬の2週間程度です。
宗高は高校が一括で出願する為、詳しくは割愛します。
学校推薦型選抜・総合型選抜の出願
総合型選抜は9月1日以降、学校推薦型選抜は11月1日以降に出願・選考が始まりますが、スケジュールは大学により様々です。
学校推薦型選抜(指定校型)の場合は校内選考があるケースも多く、その場合は夏休み明けの公示期間・申し込み期間を経て選考が始まります。
一般選抜の出願
私立大学の出願期間は、一般的には1月上旬から、関西の一部の私立大学など早いところでは12月下旬から出願が始まります。
国公立大学の出願期間は、1月下旬から2週間強です。(これが所謂二次試験と呼ばれます。)
宗高では、共通テストの翌授業日に一斉に自己採点をし、その結果を基に学校側が会議で出願校を絞り込むようです。そこから本人との面談の後、最終的な出願校を決めることになります。
別記の通り、前期日程・中期日程(公立大)・後期日程それぞれ1校ずつ出願できますが、いずれも上記の期間中に出願しなければなりません。
入試の種類
一般選抜
依然として募集人員枠の8割を占める入試方法です。所謂普通の大学入試と言ったらこれにあたります。
国公立大学の一般選抜は、1次試験的役割を果たす「共通テスト」の得点と、大学別に実施される「2次試験(個別学力検査)」の得点の合計で合否を判定するケースが一般的です。
注意したいのが国公立大学の出願期間です。国公立大学の出願期間は、共通テストの約1週間後からスタートし、約10日間となっています。思うように得点できなかった場合は、当初考えていた出願校を変更しなければならなくなることもありえます。
この為、受験戦略において、あらかじめ事前に複数の候補を挙げるという対策がとられることがあります。
分離分割方式
各大学で実施される2次試験(個別学力検査)は2月下旬から行われます。
2次試験は「前期日程」「後期日程」の2つの日程に募集人員を振り分けて選抜され、この方式を分離・分割方式と呼びます。
この方式により、受験生は「前期日程」と「後期日程」にそれぞれ1校ずつ出願できます。
同じ大学・学部を2回受験することも、別々の大学・学部を受験することもできます。
また、一部の公立大学では「中期日程」を設定する大学もあります。これらをあわせると国公立大学は最大3校の受験が可能となります。
注意しなければならないのは、「前期日程」で合格して入学の手続きを行うと「中期日程」「後期日程」を受験していても、合格の権利を失ってしまうということです。
つまり、「前期日程」の合格者は「中期日程」「後期日程」の合否を確認することなく「前期日程」で受験した大学への入学の判断を迫られることとなります。そのため、第1志望校は「前期日程」で受験するのが一般的です。
ちなみに、「後期日程」は東京大学、東京工業大学、大阪大学をはじめ、各大学で廃止・募集人員削減の方向方針が取られている流れがありますので、あくまで滑り止めとしての出願が一般的です。
二段階選抜
二次試験は、その名前から勘違いされがちですが、出願者全員が受験します。
対して、共通テストの成績を用いて2次試験の受験者を事前に選抜(第一段階選抜)したうえで、2次試験を実施する制度が、「二段階選抜」というシステムです。選抜が2段階に分かれていることから2段階選抜とよばれています。
2段階選抜の実施の有無は大学によります。多くの大学では「志願者が募集人員の◯倍を上回った場合、第1段階選抜を実施する」としており、志願者数の状況によって第1段階選抜の有無が決まります。
そのため、実際に2段階選抜が実施されるのは、志願者が多く集まる難関大学や医学科が多くなっています。
また、この足切りと言われる制度ですが、共通テストを足切りとしての用途でしか使わない大学もあります。主に難関国公立で見られる、二次試験の結果のみで合否が決まるというスタイルです。
共通テストは7科目以上の受験が基本
入試科目は共通テスト・2次試験(個別学力検査)とも大学により異なります。
2023年度入試では、多くの国公立大学が共通テストで7科目を課していました。国立大学だけに絞ると、7科目以上を課すのは88%にのぼります。
文型:外・国・地公2必須、数・理から3(数2必須パターンを含む)
理型:外・数2・国・理2・地公
選択型:外・国必須、数・理・地公から5(数2必須パターンを含む)
学部系統別に教科パターンをみていくと、文系学部では地歴公民2科目が必須の文型、理系学部では理科2科目が必須の理型が一般的となっています。
国公立大学でも少数派ながら少ない教科・科目数で受験できる大学はあります。しかし、受験科目を絞れば負担が減るかわりに、志望校の選択幅がぐっと狭まることになってしまいますので、国公立大学の志望者は5教科7科目に対応した学習が必要になってきます。
学校推薦型選抜
所謂「蹴れない入試」です。不可能ではありませんが、後輩の推薦枠が減る恐れがある入試になります。
しかし種類によっては12月頃に入試を終える事ができる上、二次試験等一般選抜に比べると大幅に難易度が低くなる傾向にあります。一部では「推薦さえ取ればほぼ受かる」と言われることもあるほどです。
「志望校からの受験戦略」セクションでも紹介しますが、早く情報をGETして備えると相当強いです。
国公立大学編
国公立大学では全体の9割以上の大学が学校推薦型選抜を実施しています。
ただし、国公立大学の学校推薦型選抜は、私立大学に比べて募集人員が少なく、出願条件のうち「学習成績の状況4.0以上」など厳しい成績基準を設けている大学があるほか、1高校からの推薦人数が制限される場合は、出願前に高校内で選抜が行われるケースもあります。
また、国公立大学の場合は、共通テストを課す場合と課さない場合の2タイプに大別され、その入試日程も大きく異なります。
小論文など受験者自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法のほか、プレゼンテーション、口頭試問、実技、教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績、共通テストなど、学力を確認する評価を実施することが必須となっており、国公立大学では共通テストを課す大学が多くなっています。
また「面接」「小論文」を課す大学も多く、口頭試問を含んだ面接や学科に関連した専門的知識を要する小論文が課されることも珍しくありません。
私立大学編
私立大学の学校推薦型選抜は、入学者比率が40%以上を占めています。
出願要件は国公立大学ほど厳しくなく、なかには成績基準を設けない大学もあります。
小論文や適性検査、面接、基礎学力試験、調査書等の書類審査をさまざまに組み合わせて選考され、適性検査や基礎学力検査といった名目で学力を測る試験が行われている大学もあります。
私立大学の学校推薦型選抜は、一般選抜と同様に多様な選抜が実施されており、
・高校時代の競技成績を基にした「学習成績概評」
・英検や日商簿記といった資格・技能をもつ受験生を優遇する「有資格者推薦」
・生徒会活動や部活動、社会・地域奉仕活動やコンクール等などで活躍した人を対象にした「課外活動推薦」
等々、様々な選抜方法が取られています。早めに募集要項を確認して、それに向かって結果を残そうとするのも戦略のひとつです。
総合型選抜(旧:AO入試)
近年頭角を現している入試方法です。
国公立大学・私立大学共に募集枠が年々増加しており、その特性から受験の穴場とも言われます。
この入試は、各大学の示す「アドミッション・ポリシー(教育理念や教育内容等を踏まえ、どのように入学者を受け入れるかを定める基本方針)」を基に、エントリーシートなどの受験生からの提出書類のほか、面接や論文、プレゼンテーションなどを課し、受験生の能力・適性や学習に対する意欲などを時間をかけて総合的に評価する入試方式です。
出願条件は、「学習成績の状況」の成績基準がなかったり、高卒生でも出願できるなど、学校推薦型選抜より緩やかな場合が多いです。
選考方法は1次:書類審査、2次:面接(プレゼンテーションも含む)・小論文といった選抜型タイプが一般的で、セミナーやスクーリングなどに出席してレポートを提出させるといったものもあります。
総合型選抜は一般選抜や学校推薦型選抜に比べると、大学が選抜に時間をかける分、受験生側にも多大な労力がかかります。出願時に提出物も多岐にわたる場合が多く、事前準備が他の選抜以上に多いことから、受験を考える人は早い時期からの対策が必要となります。
総合型選抜を狙って数年前から準備を進める受験生も多いようです。
スケジュールは以下の2パターンに分かれます。また、難関国立大学では両方が採用されているケースも多いです。
総合型選抜Ⅰ
一般的な総合型選抜といえばこちらになります。
出願9~10月、合格発表11~12月上旬といった入試日程が一般的です。
先述の通り多大な労力のかかる総合型選抜ですが、この日程では推薦入試よりも早く終わる事が一般的で、受験を相当早く終わらせられるというメリットがあります。
ただし、学校推薦型選抜と同じく所謂「蹴れない入試」にあたりますので、合格したらそのまま入学手続きに入る形になります。
総合型選抜Ⅱ
難関国公立を中心とした一部の大学で採用されている日程です。
総合型選抜Ⅰとの大きな違いは、共通テストを採用する点にあります。
出願期間は12月頃、合格発表は2月頃の場合が一般的です。
※共通テストの点数はその年の4月頃まで開示されませんが、特別な手続きを取って出願先の大学へ伝達する仕組みになっています。
また、大学によっては、共通テストが実施される前にもう1段階選抜が行われる場合もあります。
私立は対話型が多い
私立大学の総合型選抜の選抜方法はバラエティーに富んでいます。
エントリー後、事前面談、予備面談なども含めて複数回面談を行い、出願許可されると合格内定を得ることができます。このタイプの総合型選抜は、大学・学部への適性や学ぶ意欲がより一層重視されます。最近では、オンライン形式で選抜を実施する大学もみられます
理系学部には”女子枠”も存在する
難関大学であればあるほど、理系学部、特に工学部は男女比が著しく偏る傾向にあります。
これを受け、近年では「多様性の確保」と題して学校推薦型選抜に女子枠が設定されています。
以下の代表的な大学に加え、有名国公立大学を中心に一部採用されています。尚、一部では総合型選抜にも女子枠が設定されています。
・東京工業大学4学院(総合型選抜にも設定)
・名古屋工業大学4学科
・富山大学工学部3コース
・熊本大学情報融合学環
・宮崎大学工学部工学科
私立大入試
私立大学の入試も、大別すると国公立大学と同じように一般選抜と学校推薦型選抜、総合型選抜に分けられます。ここでは「一般選抜」の状況について解説していきます。
私立大学の一般選抜では、国公立大学のように統一した入試日程は設定されていません。各大学が自由に入試日程、選抜方法を設定しています。
この一般選抜は、各大学で試験を実施する「一般方式」と共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」に分かれ、他の大学と日程が被らなければ何校でも受験できます。
一般方式は2月初旬から中旬
私立大学の一般方式は、おもに2月初旬~中旬にかけて行われます。入試科目は大学により様々ですが、
文系:英語・国語・地歴公民または数学から3教科
理系学部:英語・数学・理科の3教科
と課されるパターンが一般的です。
大学・学部の特性に応じ、入試科目や配点に特徴がある入試方式を実施しているところも多く、これらを組み合わせて1つの学部・学科で2つ以上の入試方式をもつ大学が多数派です。
代表的なものとしては、科目数や選択できる科目が方式により異なったり、特定科目の配点比率を高くする方式があります。
このほか、学科試験を課さずに小論文や論述試験で選抜する方式や、民間の英語資格・検定試験(英検等)のスコア保持者や日商簿記などの資格取得者に点数を加点する方式なども見られます。
試験日自由選択制度や学外試験会場の設置も
私立大学の一般方式に統一した入試日程はないとはいえ、2月上旬頃には志望校の試験日同士が重なりがちです。
このため、多くの大学が設定しているのが「試験日自由選択制」です。試験日を2日以上設定しておいて、受験生が都合のよい日を選んで受験できるようにしています。さらに、複数の試験日を受験することを認めている大学も多くあります。
また、受験生が受験しやすいように試験会場をキャンパスの所在地域以外に設置する大学も多くあります。全国の主要都市に会場を網羅している大学もあり、直接大学まで行かなくても近隣で受験が可能になります。
戦略に欠かせない「共通テスト利用方式」
共通テストの成績を活用する「共通テスト利用方式」も多くの大学で導入されています。
2023年度は9割の私立大学で採用されました。
共通テスト利用方式では、大学独自の試験を課さず共通テストの結果だけで合否を決定するケースが一般的です。
つまり、共通テストさえ受験していれば、大学へ赴くことなく私立大学の併願が可能となるのです。国公立大学を第1志望としている受験生にとっては、過度な私立大学の受験対策が必要なくなります。
必要科目数は、3教科以下が一般的です。一部の難関大では、4教科以上を課す方式を設けるケースもみられます。一般方式と同様に必要教科数や出願期間を変えた複数の方式や、共通テストの成績と個別試験の成績を合わせて合否判定する併用方式を設定している大学も多くあります。
また、大学からみると試験問題を作成する手間がかからないことから、受験料は一般方式と比べて安価に設定されているケースがほとんどです。
最後の砦「二期入試」
2月下旬~3月にかけて再度入試を実施する大学も多くあります。大学により呼び方は異なりますが、「2期入試」「後期入試」「3月入試」などの名称が多くなっています。
2月初旬から中旬にかけて行われた試験(前期入試)の合格発表が終了してから出願できるため、万一志望校に合格できなかったとしても再チャレンジが可能です。ただし、前期入試と比べて募集人員が少ないケースが多く、大学によっては高倍率となり、前期入試より難度が高い入試となることもあります。あくまでも前期入試で志望校に合格できなかった場合に利用する入試として考えましょう。
評定の扱われ方
一般入試は、当日の学科試験のみで合否判定を行います。
評定が悪かったとしても、それが原因で不合格になることはありません。
しかし、推薦入試となると話は別です。後に解説する評定平均のボーダーラインが設定されており、それを突破した受験生のみが推薦入試にチャレンジできるというシステムです。
但しほとんどの推薦入試の場合、評定はあくまでボーダーラインを引くためのものであって、それだけで推薦入試に勝負できるわけではありませんので注意して下さい。
また、総合型選抜でも、評定が必要な場合があります。多くは評定に一定の配点が設定されており、基準に従って得点となるスタイルです。
調査書とは
評定をメインに、出欠数や特別活動の記録等が記載された書類です。
受験する大学(学部)1校につき一枚を学校に発行してもらい、出願の際に送付します。一般選抜でも送付しますが、実際はあまり関係ありません。
内容は学校印で封印してあり、受験生が開封すると無効になる為、確認することはできません。但し、必要以上に発行してもらい、不要となったものを開封する人もいるようです。
また、内容は文部科学省が様式を指定しており、学校独自のスタイルは存在しません。何回発行しても内容は同じです。折角なので本物の様式を持ってきました。
評定平均とは
高校受験の際に理解している人も多いと思いますので、ざっくりと解説しておきます。
評定平均値の計算のしかたは「高校1年生から高校3年生の出願するまでの間に履修していた全科目の評定(5段階)を平均したもの」です。
「一年生の数学」という括りではなく、「数学Ⅰ」「数学A」といった科目名での区切りになっています。
「全体の評定平均3.5以上」といったように、全科目の評定平均のみを指定する大学・短大もあれば、「全体の評定平均が4.0以上で、数学は4.3以上」など、全体に加えて、特定教科の評定平均を指定する大学も存在します。
例えば 、数学の場合は、数Ⅰ、数A、数Ⅱ、数B、数Ⅲ、数Cがあります。 そうすると、数学はすべての科目を履修すれば、6科目になります。 その6科目分の評定の平均値が、数学という科目の評定平均になるのです
また、「学習成績概評」という評価方法が採用される場合もあります。文部科学省が基準を指定している、評定平均をアルファベットで評価する方法になります。
この場合、「AもしくはBで出願可能」といった形になります。
評定平均 | 学習成績概評 |
4.3~5.0 | A |
3.5~4.2 | B |
2.7~3.4 | C |
1.9~2.6 | D |
1.8以下 | E |
宗高の推薦枠を紹介
※このセクションは近日更新します。公開まで少々お待ち下さい※
志望校からの受験戦略
私立一本化
宗高側はこの戦略は推してきません。そもそも私立が推されない傾向にありますが、3教科受験になるが故、1教科でミスをすれば落ちやすい傾向にあるのも理由の一つです。
勿論学費に大きな差が出るのは事実です。そこは各家庭の事情によるとは思います。
しかし、沢山の教科を一年で詰めるより、高一高二から3教科に絞って勉強した方が、圧倒的に高偏差値帯を狙いやすくなります。
宗高では推されることはなかなかありませんが、全国的にみると、早い段階から三教科に絞るというのはかなりメジャーな戦略となっています。
推薦ガチ狙い
この作戦が、受験における情報戦の真骨頂です。
多くの人は宗高の推薦枠やその条件を知らず、学校に言われるがまま一般選抜を目標に受験を進めます。しかし、推薦の条件を早く把握し、それに合うように準備を進めれば、別記の通り本番の時期を早く・簡単に済ませることができます。
しかし、「評定の扱われ方」で紹介した通り、基準の評定に達していないと足切りされてしまいます。推薦枠の情報が入り次第、「宗高の推薦枠」セクションに記述していきますので、低学年であればあるほど早めに確認してみてはいかかでしょうか。
3種類の併願校
志望校を決めることは非常に重要ですが、併願校を明確に決定することも同じぐらい重要です。
受験校を選ぶ上で重要なのが、チャレンジ校・実力相応校・安全校(滑り止め)をそれぞれ1から2ずつくらい受けるということです。
チャレンジ校:自分の学力レベルより高い大学。模試の判定はD判定やE判定。
実力相応校:自分の学力レベルに合っている大学。模試の判定ではBからC判定、過去問ではほとんど合格点が取れる大学。
安全校:自分の学力レベルよりも低い大学。模試の判定はA判定。
1つの学校や学部にしかどうしても行きたくない場合を除き、このようにプランを組むのが一般的です。チャレンジ校ばかりの受験ではリスクも高く精神的にもつらいため、実力相応校と安全校も抑えておくと安心です。
配点に注目する
受験戦略の上で配点はとても重要になってきます。自分の得意な科目の配点が高い場合、配点が均等の場合より、得点率が高くなるからです。
具体例を出すと、Aさんは均等配点(各100点)で、英語が80点、国語と社会が60点だとします。 Bさんは傾斜配点(英語が1.5倍だとします)でAさんと同じ得点率だとします。 この場合、Aさんは200/300、得点率は66.6パーセントです。 一方、Bさんは240/350、得点率は68.5パーセントです。
このように同じ得点だとしても、配点によって変化が生まれることがあります。
得意科目がある場合は、得意科目の配点が高い学部を受けることで合格確率は上がります。
逆に、苦手な科目がある人は、その科目の配点が均等、もしくは低いところを狙うのもいいでしょう。
※文系は英語、理系は数学ができるのが大前提となります。
英検などの外部検定が使えるか
前述の通り、私立大学を中心に英検等の外部検定、日商簿記等の民間資格が利用できる入試があります。該当の資格を保持している場合は、事前に募集要項等を確認した上で早めに志望校を絞ると有利になります。
近年では、一部国公立でも、二次試験の英語の点数に加点や、満点とみなされる制度も登場しています。
※こちらは条件が準一級以上と高い場合が多かったり、加点されても全体の配点が低いことから労力対効果を指摘する声もあります。既に保持している場合は有利にはたらくだけですが、このためにとるとなればそうとも限りません。よく募集要項を確認した上で計画を立てる必要があります。
過去問を見て相性を知る
大学は決まったけど、学部に対しては特にこだわりが無い場合は、
自分にとって相性の良い問題が出る方に出願することも戦略のひとつです。
各々、得意な箇所と苦手な箇所があるでしょう。
例えば英語の長文問題が得意な場合は、長文問題が多く出題される大学に出願するのがおススメですし、数学で微積が得意なら、微積が頻出の大学に出願するのが有利になります。
過去問を見ることで敵のレベルを知ることが出来ます。
志望校を見つけるために
ベネッセ・マナビジョン
宗高大好き、ベネッセが運営する大学検索ツールです。
エリアや学部・偏差値帯から大学が検索できる他、宗高生徒のIDでログインすれば、模試の結果と照らし合わせた大学データも入手することができます。
河合塾・Kei-net
高校後半の模試でお世話になってくる、河合塾の運営するサイトです。
通常の大学検索の他、学問・職業・留学等様々な観点から大学を調査することができます。
学歴厨にはなるな
ここまで偏差値重視で解説してきましたが、偏差値厨になるのだけはやめましょう。
特に高校一年生は、戦略と学習次第でどの大学も狙えることから、先生から有名難関大学しか紹介されません。それにより、有名難関大学以外良い印象を抱かなくなり、態度や言動に現れてくるケースが毎年多々見られます。
こんな記事を書いておいてなんですが、そこそこと言われる大学でも普通に難しいですし、何より自分の行きたい大学に行くのが一番です。偏差値が全てではありません。
そんな思想が広まると、不本意な先輩へのプレッシャーや、モチベーションの低下につながってしまいます。自分の行きたい進路を目指す先輩を応援しましょう。
ちなみに、大学入試を受ける人数が全体の約半数とされていることから、高校入学時の偏差値75程度の人でようやく偏差値50程度になると言われています。
以上長くなりましたが、大学入試の仕組み解説でした。
ここまで閲覧頂きありがとうございました。
flickboxx管理人