一年生へ届け!! アンケートから見る文理のリアル【進路選択】 

高校へ入学すると、ものの数ヶ月で文理選択を迫られます。
まだ将来どころか志望大学すら全く決まっていない中、この先の進路をを大いに左右してしまう選択になります。

今回はそんな高校一年生へ向けて、実際に現役の先輩方、OB・OGの方々にアンケートをお願いしてきました。文理のリアルな違いを載せています。

↓受験の話も合わせてご覧下さい↓

高校二年生までの流れ

選択の確定まで

選択を確定させるのは12月頃の三者面談ですが、一学期の中頃に予備調査が行われ、一学期後半の三者面談で希望進路(志望校等)の大まかな意志調査、10月~11月頃に本調査という流れになります。
10~11月頃に提出する本調査を基に、三者面談で最終確認を取ります。ここで変更する人も中にはいますが、大多数の人が夏頃には決めているようです。

二年生クラス構成

二年生一学期に実力考査はありますが、クラス編成には影響せず、一年生の1月~2月頃に大まかな構成が内定するようです。基準は公表されていませんが、特進に入れるかどうかはほぼ模試の結果決まると、生徒間では言われています。

9クラス体制となって2023年度で二年目となりますが、2023年度第二学年の現状を貼っておきます。

~文系~
1組:男子20・女子19 計39名、日本史単独
2組:男子20・女子19 計39名、日本史世界史混合
3組:男子19・女子17 計36名、日本史世界史混合【特進】
4組:男子21・女子18 計39名、日本史世界史混合
5組:男子21・女子18 計39名、日本史世界史混合
~理系~
6組:男子18・女子22 計40名、物理単独
7組:男子28・女子14 計42名、物理生物混合【特進】
8組:男子24・女子17 計41名、物理生物混合
9組:男子24・女子17 計41名、物理生物混合

体育は1・2・3・8・9の合同、4・5・6・7の合同で行っています。
7組の生物選択者は例年数人程ですが、どこかのクラスと混ざることなく少人数での授業になるようです。また、生物単独クラスが存在した世代もあります。
9クラス体制となって余裕ができたからなのか、何故か文系特進は36名、他の文系クラスは39名となっています。
対して理系は平均41名。文理通して上手く分かれている印象ですが、やはり理系特進の男女比は目に余るものがありますね。ちなみに3組の内進生は14名、7組は23名です。

文Iと文II

三年生になると文系は2コースに分かれることになります。これに関してはきちんと説明もされますし、文理選択の時点で気にしても仕方がないので、ざっくりと特徴だけ載せておきます。テキトーに読み飛ばして下さい。

文I

・例年1クラスだけ(1組)
・私大もしくは芸術系の大学を志望する生徒が選択
・授業は理系科目なしの国・英・歴・芸術(音楽や美術等)・体育(保健なし)
・音楽選択者は、何故か文化祭で太鼓を叩く文化がある
・必然的にテストの科目が少ない
・特進に入ることはできない

文II

・文Ⅰに対し、国公立をメインに志望する生徒が選択
・教科は国・数・英・理科(地学基礎/生物基礎)・歴史(日本史/世界史)・公民(倫理/政治経済)・体育(保健なし)
・二年生同様3組が特進であり、全員が文Ⅱ選択
・文Ⅰより科目数は多いが理系より少ない

それぞれの選択について

理系物理

理系の4分の3程度の割合を占めています。
物理の入試問題は、理科科目の中で物理は暗記内容が少ないため、暗記が苦手で計算が得意な人は受験しやすいでしょう。反対に計算が苦手な人の場合、入試の難易度は高く感じると言えます。
工学系等、物理を利用しそうな学部は大体受験で必要になります。
逆にその他の学部は生物選択でも受験できる場合が多いです。
ちなみに生物と共通ですが、テストの科目数は中間・期末共文系よりも教科数が多くクラスマッチ等は文系の方が強い傾向にあります

【主な選択理由】
工学系に進みたいから(最多)
・目指す学科が文理どちらからでも受験可能であったため、使う機会が今後ないであろう物理を最後に楽しもうと思った
・歴史が無理だった
・受験に必要だったから
情報系(情報工学)の学部を目指しているから
・純粋に物理が好きだったから

【独自の履修教科】
・物理
・化学基礎(〜二年生二学期頃)&化学(二年生二学期頃〜)
・地理総合
※宗高は地学なし

【履修しない教科】
・日本史探求・世界史探求
・生物
・文学国語(論理国語・古典探求は履修)

【単位数が他より多い教科】
・数学

【単位数が少ない教科】
・英語(特にコミュ英)

【物理選択で行ける学部】
・医歯学部
・工学部
・理学部(学科による)
・薬学部
・農水産学部
・経済学部

その選択をした感想

※先輩方へのアンケートの内容を掲載しています※

【良かったこと】
・周りの勉強に対する気合・意欲はかなり高い
・文系教科のコマ数が少ない
・文系大に進みたくなっても比較的対応できる
・一番人が多いので教え合いがしやすい
・数学・物理が好きなので、授業数が多い上に詳しく学べるのが嬉しい
・世の中の現象を物理の観点から考察できるようになった

【後悔していること】

・やっぱり内容が難しい
現実(成績)をちゃんと見なかった
・クラスマッチは文系が強い
難関大物理演習が難しすぎる
・文系よりテストの教科が多い
・英語の単位が少ない
・数学や化学は進むスピードが早いので日々の予習・復習を怠るとかなりきつい
女子が少ない

【文系と違うと思う点】
・全体の勉強に対する意欲が高い
・テストがムズい
・数学が難しい
・歴史がない!
・数学の進度が早い
・雰囲気が暗いというか真面目過ぎる

理系生物

理系の4分の1程の生徒が選択しています。
純粋に生き物が好きな人、看護系・栄養系を志望する生徒が多く在籍します。
生物の入試問題の特徴は、暗記問題と文章量が多いことが挙げられます。他の理科科目と比較すると問題の文章量が多く、文章を読むのに時間がかかる傾向が見られるため、読解が苦手や文章を読むのが遅い人の場合、難易度が高く感じられるでしょう。
看護系の進路を志望する場合は生物選択がマストな場合がほとんどですが、その他は工学部を志望しない限り、物理・生物どちらでも良い場合が多いです。
ちなみに物理と共通ですが、テストの科目数は中間・期末共文系よりも教科数が多くクラスマッチ等は文系の方が強い傾向にあります。

【主な選択理由】
看護系に進みたいから(最多)
薬学系・栄養系に進みたいから
・理系に進みたかったが、物理は難しそうだったから
・純粋に生物が好きだったから

【独自の履修教科】
・生物
・化学基礎(〜二年生二学期頃)&化学(二年生二学期頃〜)
・地理総合
※宗高は地学なし

【履修しない教科】
・日本史探求・世界史探求
・物理
・文学国語(論理国語・古典探求は履修)

【単位数が他より多い教科】
・数学

【単位数が少ない教科】
・英語(特にコミュ英)

【生物選択で行ける学部】
・医歯学部
・理学部(学科による)
・薬学部
・農水産学部
・工学部のバイオ系
・看護系学部
・栄養系学部
・経済学部

その選択をした感想

※先輩方へのアンケートの内容を掲載しています※

【良かったこと】
・生物が好きなので、好きな事を学べている
・文系科目が得意だと系の教科ではクラス上位を取れる
・理系はきついと言われていたけど周りも同じだから特別きついとは思わなかった
・看護系や薬学系など、似た趣向の人と集まれる
・女子が多い(男子の感想)

※管理人(筆者)の超個人的な感想ですが、生物を選択する女子はどこか似ています。特に看護系を志望する人は、話せばなんとなく予想がつくぐらいです。仲も良さそうですし、皆優しいですよ。

【後悔した事】

・数学が多いし難しい
・理系な以上数学が必須なので苦手な人にとってはキツい
・やっぱり理系は難しい

【文系と違うと思う点】
※物理選択者の回答と併せて物理の欄に記載

文系日本史or世界史

文系は日本史探求・世界史探求のどちらかを選択しますが、歴史の授業以外に違いは一切ありません
しかしながら、国公立の大学入試には必要な場合が多いので、点数が取れやすい方を選択したほうが良いでしょう。

ちなみに、友達と一緒になりたいという理由で友達と選択を合わせるケースがよく見られますが、上記のクラス編成の通り、世界史選択の方が多少確率が上がるだけであまり効果はありません

【令和3年度 大学入試共通テスト受験者数】
本試験受験者:482,624人
地理歴史選択者:373,527人
日本史B:143,363人
世界史B:85,690人

【主な選択理由】
先生になるなら文系にしろと言われたから
・文系教科の教師になりたかったから
覚えることが少なそうだから
理系教科が苦手だったから
・国語の教師を目指していて、古代の日本の歴史を詳しく知りたかったから(日本史選択者)
・世界史の授業が面白そうだったから(世界史選択者)

【独自の履修教科】
・歴史(日本史or世界史)
・文学国語
・政治経済(三年生)
・倫理(三年生文II)
・生物演習(三年生文II)
・地理演習(三年生文II)
・数学演習(三年生文II)

【履修しない教科】
・物理
・生物
・化学・化学基礎

【単位数が他より多い教科】
・英語(特にコミュ英)

【単位数が少ない教科】
・数学

【文系選択で行ける学部】
・経済学部(最多)
・経営学部
・法学部
・文学部
・政治学部
・社会学部

日本史の特徴

日本史は「コツコツ読解し深く考える人に向く」と言われています。
日本史は前歴史を時系列で覚えていく必要があります。
歴史には前歴史から連続して作られる縦軸「縦のながれ」と周囲の国や地域からの影響により作られる横軸「横のながれ」があります。日本史は他国との関連を問われることが少ないため、縦軸が重要な科目になってきます。

小学校から履修していること、日本の歴史が好きで教養として身についている人が多いことが、選択者が多い主な理由ではないでしょうか。中にはオタク級に詳しい猛者も存在します。
暗記科目と言われる歴史ですが、文化や史料も然り制度・地名などが大量に出てきます。カタカナより漢字を得意とする人に向いていると思います。

世界史の特徴

世界史は「物事の整理が得意な人教養として身に付けたい人に向く」と言われています。
世界史は日本史と違い1つの国をより深く知るのでなく「横の繋がり」を意識して覚える必要がでてきます。日本史とは反対に広く浅くといったところではないでしょうか。

広範囲になりますが、浅い知識を問う問題も多く覚えてしまえば確実に点に繋がります
絵や映像で楽に認識でき、感覚的に覚えることができると言われています。

当然ながら出てくる単語はカタカナがほとんどですので、日本史と違ってカタカナを暗記するのが得意な人には向いているでしょう。しかし、覚えなければならない項目数が日本史に比べ1.3倍ほどと多く、国の形や名前が大きく変わったり、「1世」「2世」のように一見区別の付きにくい名前が多く登場したりするため混乱しやすくなるのです。

その選択をした感想

※先輩方へのアンケートの内容を掲載しています※

【良かったこと】
・物理をやらずに済んだこと
・暗記科目が多いから自分に合っていた
・運動部が多くて賑やか
・クラスマッチが強い
・全部日本の事だから割と覚えやすい(日本史選択者)
・どんな国があるのかその国の歴史についてよく学べること(世界史選択者)

【後悔したこと】

・国語が多すぎる(※理系に比べてコマ数が多く、文系特有の文学国語もある)
・小テストの時覚えることが多い
・理転は望めない
※「特になし」といった回答が大半を占めています。

【理系と違うと思う点】
・教科(前述の通り)と数学の難易度
・暗記系が多い
・理系は勉強が大変そう考えることが多そう
・KKT、長期休みの課題、定期テストの自習時間の有無
※理系と文系で定期テストの科目数が異なる為、少ない文系はその差だけテスト時間が自習になります

文系・理系の雰囲気

「クラスの雰囲気は自分に合っていると思いますか?」という質問をしてみました。

理系編

・お互いの距離感がちょうどいいから合ってると思う
・相手との距離感を考えて接してくれる人が多いため助かっている。
おとなしめの人が多い
・あまり他人に干渉してこないから合っている
陰キャが多すぎる
・みんなで助け合いながら勉強が進められるので合っていると思う。
周りの人のレベルが高いので、お互いに刺激を受け高め合うことができるクラスという点ではこのクラスで良かったなと思います。
・いいクラスだし内進生をみんな避けるけど、みんな地頭良くて尊敬してる人たちと1番近くで過ごせるし、分からないこともその科目のプロが3人くらいいるから困らない!(特進在籍者)

文系編

・あっている、うるさすぎないから集中して勉強できる
・話しやすくて明るい子が多いし、皆優しいのであっていると思う
・仲良い子もいるし楽しいからあっている
・全体的に賑やか
・理系より心の余裕がある

理転・文転はできるのか

進路選択の時、文転ができるから理系を選ぶ人など、保険として道を用意しようとしている人もいるのではないでしょうか。例の如く、先輩方へのアンケートを基に、その実態をお伝えします。

・普通に先生から許可が降りないのと、途中から足りない科目を補うのは大変だと思うから、難しいと思う。
扱う内容が全く違うため厳しいと思う
・自分の得意分野の方に文転理転するのなら、勉強の負担が減るからしやすいと思う。
・文理で教科が違うことが多く、独学で習得しなければいけないため、しにくいと思う。
・理転は数学と理科をしっかりしないといけないから文転よりムズい
・難しい。先例を聞かないから。
・文転・理転する人が少ないと思ってる人が多そうだから、しにくいと思う。
・仮に文転または理転をしたとき、その一年間が無駄になってしまう。
・大量の必修内容を効率的かつわかりやすく凝縮して授業がなされているので、その分を文転・理転した後に自分で一から学び始めるのは大変だと思います。
・文転はしやすい。理転は知らん(理系選択者)
・数学があるのでキツいかと思います。(文系選択者)
・文転すると経済学部受験がしやすい。数学を例にとると、数II・Bの難しい問題を数Ⅲの知識で簡単にとくことができるし、2次で社会を要求されないから!(理系選択者)

また、宗高では二年生から三年生へ進級する際、文転理転することは出来ないシステムになっています。

以上の事から、宗高での理転・文転は比較的難しいようです。
新たに必要になる科目が得意科目である等、理転文転後も戦えるケースもありますが、あてにしない方が良いでしょう。少なくとも、「理系は文転が効くから取り敢えず理系に行こう」といった思考は宗高では通用しなさそうです。

結局、どの選択がおすすめ?

文理関係なく回答して頂きました!

先輩の経験談・メッセージ

アンケートのついでに、先輩方の体験談や、後輩たちへのメッセージを頂きました!
折角なので抜粋して載せておきます!

友達には惑わされず、自分の意思で決めましょう!

苦手(嫌いな)科目を避けるより、得意(好きな)科目で選んだ方がいいと思います!!

進路が決まってない人はまず自分のことを知るといいと思う。まだ時間はいっぱいあるから。

周りに合わせるより結局自分の行きたいとこに行けばいい

大事なのは、自分が選択した進路をできるだけ迷わず進み続けること。

歴史無理とかいう人は物理じゃなくて生物が楽!物理は1年よりもめちゃくちゃ難そう、でも色んな道に行けるのは物理らしい、

進路選択は今後大学まで関わる大事な分岐点だと思うので、悩んで当たり前だと思います。自分がどのような学部に入りたいのかしっかり向き合って、嫌いな教科だからよりこの教科を学びたいからという好奇心や興味を大切にして前向きに考えてみてください!

進路選択で重要視すべきなのは「将来の夢」と「得意科目」だと思います。一年生は基礎の勉強よりも、自分の将来に向き合うべき時期です。

自分の将来から逆算するのがいい!決まっていないのなら理系物理を選んでおくと工学、理学、医学、歯学、農学、教育、経済のようにひろい選択肢を残したまま進級できる!

これだけは伝えたい

ここまで文理のリアルな違いをご紹介してきましたが、筆者が伝えたい事は、

好きな科目興味関心のある学問で決めよう。それ以外は気にするな!

です。得意科目や苦手科目あるかと思いますが、大抵は自分で決めつけているだけで、やるかやらないかだけの違いだったりします。それで決めても大学でのモチベーションになりません。

何より、宗高は理系、特に物理選択を最上位に位置付ける傾向にあります。理系の先生方を中心にそういった思想が根付いている印象です。
言うまでもなく文系だから簡単だとか、成績が悪いだとか、大学に入りやすいだとか、そういったことはありません。文系だって難しい所は難しいです。
実際に私(管理人)は、理系の先生から「文系は暗記すれば行けるが、理系はそうはいかないぞ」と言われた経験があります。そういった「成績の良い人は理系、悪い人は文系」といった思想が、好きや興味関心で進路を選択する妨げとなっています。
理系と答えたら無条件で「頭良いんだね」と言われることもよくあります。
実際にアンケートでは「正直他選択者を見下している」と答えた物理選択者や、「成績に自信がないから文系を選んだ」と答えた文系生徒も見受けられました。

また、友達に合わせる人もいますが、選択を同じにした所で一緒のクラスになる確率はそこまで高くありません。個人的な意見ですが、仲の良い友達と絡むことはいつでもできますし、逆に既存の友達と固まらず、新しい友達を開拓してみてはどうでしょうか。

「前のクラスが良かった」なんて思うのは大体最初だけです。是非自分の関心の向く道に進んで下さい!
ここまで閲覧頂きありがとうございました。

flickboxx管理人